- HOME>
- 爪甲こうわん症
爪甲こうわん症について

爪甲こうわん症(爪甲鉤彎症)は、足の爪が厚く硬くなり、猫の爪のように変形する疾患です。爪みずむしと症状が似ているため混同されることもありますが、爪みずむしのように爪が脆くなるのではなく、むしろ硬くなって切りにくくなります。
靴を履くと痛みを感じたり、見た目が気になって足を人前で出すことをためらったりする方も多くいらっしゃいます。硬くなった爪は自己処置が難しいため、放置によってさらに悪化するという悪循環に陥ってしまうケースも少なくありません。
爪甲こうわん症の原因
主な原因として、爪への外的な損傷が挙げられます。爪の強打や重いものを落としたりすることで爪が剥がれ、その後の爪の再生過程で変形が生じます。また、不適切な抜爪手術後に発症することもあります。
長期的な要因としては、先の細い靴やハイヒールなど、爪に過度な負担をかける履物の使用が挙げられます。特にバレエダンサーなど、足先に負担のかかる活動を続けている方に発症リスクが高いと言えるでしょう。こうした理由から50代以降の発症が多いものの、若い世代でも見られることがあります。
爪甲こうわん症の主な症状
症状の進行に伴い、爪は次第に厚みを増して硬くなり、前方への成長を阻害するようになります。爪の表面は段差のある層状となり、色も濃く変色して黄色く濁っていきます。
また、爪と皮膚の間に隙間ができる爪床剥離症を併発する例も多く見られます。こうなると爪の根元に負荷をかけるほか、隙間に垢やゴミが溜まって不衛生になることもあります。
症状がさらに進行すると、爪の周囲の皮膚が盛り上がって爪の正常な成長を妨げ、結果として爪がさらに厚くなるという悪循環を引き起こします。これが進行すると、爪が皮膚に食い込んで痛みを生じることもあります。
爪甲こうわん症の治療
保存的治療
爪の変化のみで痛みなどの症状を伴わない場合、定期的に爪を削って爪の厚みを適切に調整します。また、皮膚の盛り上がりを抑制するためのテーピングも行います。
爪が完全に生え変わるまでにはある程度の時間がかかりますので、通常、完全な改善には1年以上の期間を要します。根気よく治療を続けていきましょう。
手術

症状が重度な場合や、保存的治療での改善が見込めない場合は手術を検討します。手術では変形した爪を部分的、または完全に抜去し、新しい爪が正常に成長できる環境を整えます。
ただし、爪周囲の皮膚の盛り上がりが強い場合は、爪の抜去だけでは再発を起こすこともあります。その場合は隆起部か指の末節骨の一部を削る手術を行い、正常な爪の成長を妨げないように調整します。