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粉瘤(アテローム)・脂肪腫について
粉瘤(アテローム)
粉瘤は、皮膚下に形成された袋状の組織に、皮脂や角質などの老廃物が蓄積したものです。「アテローム」「表皮嚢腫」とも呼ばれ、主に頭部、顔面、首、背中などの皮膚の比較的浅い層に発生します。
触れると硬く弾力がありますが、初期段階では特に問題になることはありません。しかし、これが時間経過で大きくなり、炎症を起こすと痛みや発赤を伴うようになります。肥大化した粉瘤は、外部からの刺激で内容物が流出することがあるため、早めの治療をおすすめします。
脂肪腫
脂肪腫は、皮下組織の深い層に発生する脂肪性の腫瘤です。薄い膜に包まれた脂肪組織の塊で、体のどの部位にも発生する可能性がありますが、基本的には良性の腫瘍です。
ブヨブヨと柔らかい感触が特徴で、皮膚表面の色調変化はほとんどなく、痛みを伴うこともありません。ただし、血管脂肪腫と呼ばれるタイプでは、痛みを伴うことがあります。
粉瘤(アテローム)・脂肪腫の原因

なぜ粉瘤ができるかは、はっきりとは分かっていません。毛穴の詰まりやウイルス感染、外傷などの影響により、本来外に排出されるべき皮脂や角質が袋状の組織内に蓄積することで生じると考えられています。脂肪腫も粉瘤と同様に明確な発生原因は分かっていませんが、刺激を受けやすい部位(首や背中、太ももなど)に生じやすい傾向にあります。
両者とも基本的には良性の腫瘤で、健康に影響を及ぼすことはまれです。ただし、美容上の問題や日常生活での不快感から、治療を希望される方も少なくありません。
粉瘤(アテローム)・脂肪腫の見た目や症状
粉瘤
粉瘤は皮膚の浅い層にできるため、表面からの観察で以下のような特徴が見られます。
- 皮膚表面に黒い点(開口部)が見られることが多い
- 触ると硬く、弾力のあるしこりのような感触
- 腫瘍が大きくなると、中の内容物が透けて見えることがある
- 炎症を起こすと、発赤や腫れ、痛みを伴うことがある
- 内容物が流出すると特徴的な臭いを発する
- 大きさは数mmから数cmまで様々 など
脂肪腫
脂肪腫は皮下組織の深い層にできるため、以下のような特徴があります。
- 皮膚の色調はほとんど変化せず、単純な隆起として観察される
- 触るとやわらかく、ブヨブヨとした感触
- 指で押すと位置が少し動く
- 通常は痛みや不快感を伴わない
- 血管を伴うタイプ(血管脂肪腫)では圧痛を感じることがある
- 徐々に大きくなる傾向があるが、悪性化することは極めてまれ など
粉瘤(アテローム)・脂肪腫の治療
手術

粉瘤・脂肪腫に対する根本的な治療は、外科手術による摘出です。初期段階で痛みや炎症がない物の場合は、経過観察に留めることもありますが、腫瘍が小さなうちに除去することで、体への負担を最小限に抑えることができます。
手術では、まず傷跡が目立たないように切開のデザインを行い、局所麻酔下で皮膚を切開し、内容物を除去します。その後、皮膚のひきつれに注意しつつ、丁寧に縫合します。手術は比較的短時間で終わりますので、基本的には日帰りでの実施が可能です。
手術後は、傷口の保護と感染予防のため、適切な創部管理が必要です。必要に応じて傷跡のケアも実施し、根治に向けてしっかりと対応させていただきます。